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これからの時代②「人間の尊厳」

更新日:2023年4月16日

 第4次産業革命と位置付けられるAIを導入したIоT環境の普及は、より便利で、よりスピーディーで、必要な時に必要な情報が手に入る、現実世界と仮想世界を行き来するようなエキサイティングな社会をつくります。しかし、ただただ全幅の信頼をしてこの革命を受け入れると、偏った価値観だけが善良だと評価されるような社会になるでしょう。私たちはAIを導入した社会の、どのような問題点に気づいていないのでしょうか。想定されるこのような問題点を具体的に三点挙げてみたいと思います。

 問題点の一点目は、人間の尊厳の危機です。AIが普及すればするほど、世界は便利になり、必要な情報を必要な時に瞬時に入手ができる社会になります。そうすると「グーグル先生」という今時の学生


の発言からも言える通り、ビッグデータの中からAIが検索し判断することが、教師から当意即妙の知識を授けてもらえたように錯覚してしまいます。グーグルだけでなく人間が発声する言葉に反応し、リサーチをしてくれるAIはすべてこどもたちにとって「先生」という地位が確立されてしまいます。

そのような子どもたちはAI至上主義的価値観を普及させてしまうでしょうし、もっともっと生活をAiに任せ、頼り切っていこうと言うインフルエンサーが出現するかもしれません。ここで危惧しておかなくてはいけないのは、人工知能の尊厳よりも、人間の尊厳をいかに守っていくかということです。順位や相関性などの客観的な情報に関してはAIにはかないませんが、ともに感動を分かちあえるのは人間と人間の関係においてのみです。主観をふんだんに含み、おおよそで示された人間的情報を無価値にしてしまっては、社会全体が機械的で面白みがなく、心を失った世界になりかねません。ある一つの結果や情報にたどり着くまでに、AIの作業からすれば無駄とも思えるような遅々として進まない取り組みに人間は苦労を感じ、長い長い作業の後の一瞬の成功に感動と歓喜を覚えるものです。またその労作業を他者が知ったときに感動が伝播して、語り継がれていきます。このように人間の尊厳は人間でしか作り出すことはできず、AIは人間のように苦労を感じません。そこにAIと人間の大きな差異があります。人間は人間とのやり取りの中でしか本当に楽しむことができないということです。また、人間には心があり、その心こそが何よりも尊いものだということを深く銘記されなければなりません。AIには心は存在しません。AIに愛着を感じても、AIに心があるわけではないのです。つまり、AIに芸術が作れるか、AIに笑いが作れるか、AIにこどもの育成ができるか、人の心のケアができるかということです。便利な世の中になっても心を失うような社会であれば、幸福感も少なく、達成感もない、ただただ最善と思われる生活サイクルを過ごすだけの社会になりかねません。幸福を感じるのは人間の心です。人間を幸福にできるのも人間だけです。このように、社会にAIが普及すればするほど、人間の尊厳を維持できるかが問題となるはずです。


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