これからの時代③「監視される覚悟」

更新日:2021年5月6日


 問題点の二つ目は、AIを利用したIоT社会は監視社会と表裏一体だということです。唐突な表現ですのでどういうことかわからない方も多いと思います。丁寧に話を進めていこうと思います。



 車を運転するときに、ドライブレコーダーを起動させた上で運転することが標準になってきています。これは、万が一事故が自分の身に降りかかったときに、警察や保険会社へ提出し、適正な事故の判定と補償比率を期待するからこそ設置するわけです。例えば、危険運転の被害による事故であれば、どのような危険な運転をしていたかを言葉で説明するよりも信頼度が高く、客観的に詳細な状況がつかめます。また、ウインカーを出さずに割り込んできた車と接触してしまった場合、過失割合は相手方が多いのですが、「ウインカーをだしていた」「いや、出していなかった」と相反する主張となり、証明されにくいことがあるからです。このような点でドライブレコーダーを起動させたまま運転することが標準になりつつあるのですが、同時に自分の運転の癖や気づかないうち犯してしまった小さな交通違反なども克明に記録されていることを、改めて認識しておかねばなりません。自分にとって都合がいい方に個人の行動履歴を使用した場合、メリットが多くなります。しかし、思いもよらないところで自分の行動履歴を利用されれば、普段の意識していなかった違反運転などをあげられて交渉が不利に進むこともあるはずです。




 私たちがコンビニエンスストアへ買い物をしに行く場合を考えてみましょう。私たちはスマホを使用し、近隣のコンビニの中でどこが一番近くて、目当ての商品があるのかを検索し行動に移すことがあります。そして、スマホのGPS機能を利用して、移動経路をAIに判断してもらって行動に移すことがあります。そうしてコンビニに到着し、商品を手に取り、レジにて会計をします。その際、割引やクーポンを使用しやすいキャッシュレス決済を行い、自宅まで帰ることもあるでしょう。今表現した内容はスマホの便利な部分だけです。

 では、この行動のデメリットの部分を考えてみたいと思います。私たちが日常使用しているパソコンやモバイル端末にコンビニの検索結果が記録されます。そして、GPS機能が使用端末に搭載されていて稼働していれば、どこでコンビニの検索をしたのかも記録されています。さらに、その検索結果は検索エンジン運営企業が所有するクラウドサーバーに共有され、企業はいつでもその検索結果を分析することができ、いつ・どこで・だれが・何について検索したのかを再提示することもできます。このようにネット上に刻印された検索結果データが蓄積されていくと個人の傾向はもちろんのこと、今回コンビニを検索した使用者と同じような年代の使用者の傾向までも集約され、分析されていきます。また、GPS機能はコンビニまでの経路やたどり着くまでに何分かかったのかも記録されます。このようなデータを分析すれば、徒歩で行ったのか、自転車で行ったのか、車で行ったのかなどもはっきりと区別できるでしょう。このように具体的に考え直してみると、背筋が凍るような思いがします。これは個人の一つの行動が丸裸にされてしまっているようで不快な気持ちになります。しかし、ネット検索を利用して生活するということは利用者が同意の上でその個人の情報を特定の企業に差し出す、ということなのです。

もしも幼いうちに何げなく検索した内容が、大人になって指導的立場に立った際に、悪意のある人間によってスキャンダルとして公表されてしまったらと考えてみてください。あってはならないことですが、その倫理的な判断は検索エンジン企業に勤める従業員にゆだねられていると言っても過言ではないのです。

 このように、IоT社会は、私たちの生活を便利にすると同時に、身近なパソコンやモバイル端末を使用した履歴がデータとしてすべて刻印される社会です。便利さだけに目を奪われるだけではIоT社会の裏側の姿は見えていないのです。。

 近い将来、AIを使用したビジネスが当たり前となるでしょう。その方が人件費も少なく済み、より一層の収入が見込めるからです。





 そのビジネスを成功させる上で大切になるのが、消費動向のビッグデータを収集し分析することです。そのビッグデータがあれば、消費者のニーズをリアルタイムで把握することができます。では大企業はどのようにして消費動向のビッグデータを集めているのでしょうか。それは、単純なことです。現在の消費者に大半の買い物の履歴を残してもらうことができれば、ニーズを正確に読み取ることができます。しかも刻一刻と変化するニーズをリアルタイムでとらえることができます。もうお気づきの方も多いと思います。電子決済システムが世界的な広がりを見せています。クレジットカード決済から始まり、モバイル端末決済、プリペイドカード決済、QRコード決済がそのビッグデータ収集の方法です。私たちは楽しく便利にお買い物をすると同時に、いつどこで何を買ったかを大企業に提供し続けているのです。

 はじめに「AIを利用したIоT社会は監視社会と表裏一体だ」と言いましたが、いよいよその内容に迫っていこうと思います。

 企業のサーバーに蓄積されている消費者の検索履歴や購入履歴のビッグデータを、全幅の信頼をする企業だけが利用するのであれば、便利さが表面に現れて、私たちは恩恵を多分にうけることができるでしょう。しかし、政治の流れが変わり、政府が企業に対して強く介入するような社会になった場合に、このビッグデータは権力を行使する政府も利用できるようになるはずです。例えば、反政府の考えをもつ国民を検索履歴や購入履歴から分析し、見つけ出すことも容易になるでしょう。そうなった場合、逃げも隠れもできません。一個人が何年も何十年もあらゆる企業にため込んできたデータを個人がすべての企業に削除を申請し、実際に削除されたのを確認するというのは、作業時間的に大変難しいことだと思います。その前に、政府が反政府勢力を見つけ出すために権力を大きく行使する社会になってからだと、おかしな履歴削除行為は逆に注目されてしまって、瞬く間に突き止められてしまいます。このように、AIを利用して監視社会が構築されていきます。企業が保管しているビッグデータは政治権力や警察権力が介入した際に、権力行使の為に使用されることがあり得るということを忘れてはいけません。そして、もしかすると、2019年の現在でも、犯罪者の特定などのためにビッグデータがすでに利用されている可能性は否定できないと思います。

このようにIоT社会には光と影の部分が考えられます。便利な生活に恩恵を感じ続けるには、ある覚悟をもって生活をしなければならないのかもしれません。とくに平和と反対方向に進むような政治が行われないように、わたしたちが政治を監視し続ける覚悟かもしれません。

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